途上国での活動

パキスタン
2022年2月〜2022年12月​​​​​​​ 
JICA技術協力事業 
パキスタン国「アパレル産業技能向上・マーケット多様化プロジェクト」

(第2期の2022年2月よりTLAG事務局長が参加。第3期2022年度はアジア共同設計コンサルタント社と共同事業体として実施し、2022年12月に終了)

【背景】
パキスタンの繊維セクターは、GDP の約1 割、総輸出額の約5 割を占め、また製造業従事者のうち約4 割を雇用する等、製造業部門では最大のセクターとなっています。ただ同国はバングラデシュ等他のアジア諸国と比しても女性労働力が十分に育成されていないため、特に女性労働者の技能の底上げを通じた生産性の向上が課題となっています。
このプロジェクトは、アパレル産業における労働者の技能向上を行う研修機関の強化を行うことで同産業の生産性向上を図ることを目的にしています。対象校はラホール市に所在する①パキスタン・ニットウェア研修所(PKTI)及び②パキスタン既製服技術研修所(PRGTTI)、並びにファイサラバード市に所在する③女性専用研修所(FETI)の3 機関です。

【プロジェクトの目的】
プロジェクト目標:アパレル産業の市場拡大に必要な人材が育成される。
この目標を達成するために、プロジェクトとして以下の「期待される成果」の実現を目指しました。
成果 1 :アパレル産業界のニーズに合わせた研修計画が策定される。
成果 2: PKTIとPRGTTIの運営能力が強化される。
成果 3: FETIの研修実施体制が整備される。
成果 4 :アパレル製品の市場拡大と女性の雇用拡大のために、官民の連携が強化される。

【プロジェクトの成果】
2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、プロジェクトは非常に難しい運営を強いられましたが、専門家によるオンラインでの指導や渡航再開後の現地指導を通して、各訓練校の教員の知識と指導能力が格段に向上しました。それにより、訓練校のクラスの質が向上し、パキスタンのアパル産業に必要な技術と知識を持った人材を育成することができました。
パキスタンの農村部では女性が外で働くことが未だ一般的でない社会風潮があります。そのため、このプロジェクトは、特に女性へのアパレル分野での就学および就業機会の提供を重視してきました。このプロジェクトを通して、アパレル産業で就労し、または起業をして、自身が働くことで家庭を支え、自己実現を図っていくロールモデルとなる女性が育成されました。
ある訓練生は「このプロジェクトを通して、パキスタンでも夢にチャレンジできることを強く感じることができた。一生懸命勉強して世界に通用するデザイナーになって自分の夢を掴み、家族を養いたい」と今後の目標を熱く語りました。本プロジェクトは女性訓練生に未来への夢と目標、それに挑戦する勇気を与えるとともに、家族を支える力になりたいと願う気持ちを一層高めるものになりました。
2022年9月29日には、首都イスラマバードにて、プロジェクト最終成果発表会・ファッションショーを開催しました。このイベントは、このプロジェクトの日本人専門家による技能訓練校3校の教員らへのこれまでの技術移転(アパレル企画、縫製、パターンメイキング、染色、刺繍など)の集大成の発表の場として開催されました。日本パキスタン外交関係樹立70周年記念事業として開催された本発表会には、日本・パキスタン両国の政府高官およびパキスタン繊維業界各組合のトップ、アパレル企業経営者ら総勢300名以上が来場し、各訓練校がステップアップしていく姿を発表する機会となりました。
この活動を通じて教員が学んだことが訓練生へ伝わり、彼女たちの未来に夢と目標が芽生えるきっかけになりました。(2023年1月)
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